煩悩108部屋

オーラス、親は犬夜叉。
現在得点は弥勒一位。
二位かごめ、三位珊瑚、四位犬夜叉。

犬夜叉は己の不運を呪った。
そう、配牌からしてツイていないことこの上なかった。
そして、相手が悪い。

弥勒はいつもの如くのポーカーフェイスで涼しい顔。
手牌の様子を全く見せない。
かごめはううん、と悩む素振りも見せたりするのだが、なぜか手牌は読めない。
かろうじて珊瑚が捨てられた牌に反応する様子からソーズをあつめているらしきことだけは分かる。

今、犬夜叉が親となった今。
珊瑚の捨て牌でロン上がりすればかなりの高得点が狙える。
四位であるということは、脱がされる。確実に。
なぜならこれは弥勒の提案だったからである。

――しかし。
弥勒も、四位の俺が脱いだって楽しくないんじゃないか?

その思いをちら、と弥勒に目くばせする。
彼の目当ては珊瑚を四位に突き落とすことのみ。
男二人のアイコンタクトはばっちりときまった。
弥勒はふ、と笑って、発牌を捨てた。
犬夜叉の意図を汲んでのことだ。

――よしっ、これは四位から抜けられる!

しかし弥勒は別のことを考えていた。
犬夜叉が仮に上がれたとしても、全員から得点を吸い上げただけでは四位が珊瑚になるとは限らない。
ならば、やはり犬夜叉にロン上がりをしてもらうしかないのだ。

懸命に残り三名の狙う役を考え、かごめに上手く牌が回らないように安全牌を切っていくしかない――。
なおかつ、犬夜叉の欲しい牌を渡す。

「難しい……」
「何か言った? 法師さま」
「いえ?」

はは、と冷や汗浮かべて弥勒は返す。

運命の配牌。
こればかりは本人の運である。
鳴くか鳴かないかは危険牌さえ避ければ大丈夫なのだが――。

そして、珊瑚が牌を手にする。
瞬間、あ、と嬉しそうな顔が。

ギクリ、と氷りつく弥勒と犬夜叉。

「ツモ〜!」

「は、はぁ……」
「おう……」

――俺、四位決定? 四位決定? だよなあ……。

二人びくびくと、珊瑚の広げた牌を見る。
そこにあったのは。

「二盃口〜!?」

驚愕の声と共に犬夜叉と弥勒はぱたりと倒れた。

「お前……鳴いてないからどうせ七対子だと思っていたのに……!」
犬夜叉が衣の袖を噛む。

「あはは、てことで40符4翻満貫〜! 犬夜叉が四位確定だね、かごめちゃん!」
「ねえ〜……絶対犬夜叉って弱いと思ってたもの」
あはは、と二人は顔を合わせて笑う。

「で、弥勒さま一位だけど、どうするの? 一位の人が四位の人に命令する、脱がすってことにしたわけだけど?」
「かごめさま……私は……珊瑚がこんなに地味に運が強いとは思っていなかった!」
「知らないわよ、そんなの〜。じゃあさっさと二人でどうぞ。私たちは出て行くから。ね、珊瑚ちゃん」
「うん、お腹空いたしね」
「じゃあね〜」

閉じられた襖。
二人きりの野郎組。

「犬夜叉……」
「なんでい」
「次こそは……次こそはっ……! 珊瑚を四位に! つーかお前がそんだけ頭オカシイ手ばっか打つから四位なんかになるんじゃねえか!」
「待て弥勒、八当たりはよくな!」

「ふふっ、ふふふふふふ……今から徹底的にお前に麻雀を仕込む! 次のために! いいか、今日は徹夜だぞ!」
「お、おぅ……」

――四魂のかけらよりも四位に拘る弥勒であった。


I'm sorry...



犬夜叉たちに脱衣麻雀をさせてみました。
勿論提案者は法師。法師だ。
初っ端からキャラ崩壊に管理人暴走ギャグすみません。
でも、この部屋はそういう部屋ですから(キラッ☆)
いえ、自分がものすごく麻雀打ちたかったんで、打たせました。
戦国時代の中で真剣に牌に向き合う一行が見てみたい……(馬鹿)
麻雀のルールを詳しく知りたい方はこのサイトで。

09.07.27 漆間 周