「女の尻を撫でたりするのはせくはらだとかごめが言ってた」
「それは誤解です。特に珊瑚の場合かごめさまの言うそれに当てはまるように思いません」
犬夜叉と弥勒は男女の機微に対して対極だ。
犬夜叉は不器用の極みだし、弥勒は器用を極めてしまった。
しかしその実、向かう先は同じだ。
どちらにせよ相手の誤解を招く。
「でも珊瑚のやつ、怒るじゃねえかよ」
「あれは照れているのです」
「なら他の女も触るのはなんでだ?」
「珊瑚の気を引くためです」
犬夜叉は悩んだ。弥勒が経験豊富な男であることは知っている。
しかし、彼に何か求めたところで実があると思えない。
事実、七宝の方が賢いだろうし、一番賢明なのは、雲母に悩みを打ち明けることだ。
「なら、おれがかごめの尻を触るとする。大丈夫だと思うか?」
「うーむ……あまりおすすめできませんね。まずは他の女性からでしょう」
「ほ、ほかの……」
他の、と言われて浮かんだのは、まず桔梗で次に珊瑚で最後に楓だ。
「身近すぎやしませんか? 村娘という発想がお前にはないんですか」
「ああ、そうか」
得心がいったように犬夜叉は頷いた。
「でもよ、弥勒。おれは慣れてないしな、そういうの……」
「大丈夫ですよ、何も尻に限ったことはないんです、まず手を握るところではありませんか?」
尻は究極ですからね、と弥勒は付け加えた。
「そうか……」
「……犬夜叉、私の手を握るのはやめなさい」
「お、照れてるのか?」
「怒りますよ?」
「最初の話と違うじゃねえか」
「いえ、それは正しいはずです」
「ならやっぱ照れてんのか?」
「気持悪いんです」
犬夜叉は悟った。恐らく、今までの事例からして「照れている」のではなく「気持悪」かったのだ。
「弥勒、やっぱおめえ間違ってるぞ」
「まずお前の行動と思考が間違ってるんです……」
how fool.
「確かに恋だった」さまのお題「変態に恋されてしまいました」の「スキンシップじゃなくてセクハラです」より。
日記にて申しておりましたお題です。
ほんとうにいいもん知りました、ありがとうございました〜!(某方へ:笑)
犬夜叉も弥勒も、同じなんですよ!(笑)
2010.02.07 漆間 周