『法師さまー、メール来たよー!』
背後の機械からの音声に、弥勒は振り返って携帯電話を取る。
「なんでい、弥勒、その着信音」
不思議そうに覗きこむ犬夜叉に弥勒はメールを打つ手を止め、顔を上げる。
「ああ、これは着ボイスというやつですな」
「や、ですな、じゃなくてよ。それ珊瑚の声じゃねえか」
「ええ、そうですよ」
「どうやってそんなん作ったんだよ」
はあ、と弥勒は顎に手をやって笑った。
「この言葉を言ってくれそうな時に録音を根気良〜く続けた結果、見事録音いたしました」
いいでしょう、と笑う彼に犬夜叉は心底どうでもいいという顔で見返す。
「それにですねー、ここだけの話!」
パシン、と膝を興奮気味に打った彼に犬夜叉は若干引き気味。
「アラームは、珊瑚の喘ぎ声にしてあります!」
最高の朝でしょ、ね、ね〜、とすりよる弥勒に、犬夜叉は珊瑚に代わってゲンコ一発をかました。
痛え、とこぼした彼に、犬夜叉は絶対零度の瞳を向ける。
「……この変態野郎」
「……かごめさまのパンチラを常に見逃してないお前に言われたくない」
ふっ、と両者笑って一瞬の間。
「珊瑚の着替えは絶対盗撮してるお前に言われたくねえ!」
「かごめさまの制服の匂いをかいで嬉しそうにしてるお前には言われたくねえ!」
睨み合って次の言葉を考える二人。
「くっ……おめえ珊瑚に内緒でこの前駅ビルのとこで女と一緒だったろ」
「ふっ……お前こそかごめさまに内緒で前の彼女と会っていたろう」
――うぐぐぐぐぐぐぐ……。
数秒、先に根を上げたのは弥勒。
「ま、男は皆アレということですな」
「おめーと一緒にすんな」
「ふっ……このムッツリスケベ」
ニヤリ、と冷笑と共に放たれた言葉に犬夜叉はぴくぴくと青筋を立てた。
「だーれがムッツリスケベだこのオープンスケベ!」
「何度でも言って差し上げます、ムッツリスケベー、ムッツリスケベー」
「うるせー、オープンスケベ!」
果てしなく続きかねない両者の言葉の嵐に、実は側にいた七宝がはあ、と嘆息して立ち上がる。
「オープンでもムッツリでもスケベはスケベじゃわい、のう雲母」
「みぃ」
Both sides must be blamed...
犬夜叉はむっつり助平だと思います。絶対かごめちゃんのパンチラを見逃していないことでしょう。
まあシチュエーション的には現代版ですか。携帯出てますし。
文体崩壊も何もかも目をつむってやって下さいf^^;
09.07.28 漆間 周