時流というものは残酷で、人の意志なぞ関係なく流れていく。
残されたもの、残すものはそうして現れる。
それが命をつむぐ証でもあるかもしれない。
己の身が妖怪であることを悲しく思うのはそういう時だ。
残された妖怪たちはかつての日々を振り返る。
あの笑顔も。
あの涙も。
旅した時間は三年といえど、無限の思い出をはらんでいる。
ふとある一瞬を思い出すと、押し寄せるさざ波のように、一つが引けばまた次が押し寄せる。
香や色、手触り、場所。
引き金となって打ち砕く。
もういない、と思った時、それは目をすがめて見る輝く太陽のように。
眩しくて直視できない。
手をのばしても届かない。
残酷な時の中で、妖怪たちはそれでも生きていく。
ひっそりと息をひそめて。
うつむけば、あの日と同じ己の影。
けれどうつりこむ地面は違う。
川の水も違う。
それでも。
天を仰ぎ見て叫びたい。
出会えてよかった、と。
Life goes on...
最終話のさらにさらにずっと後、人間の身の彼らが死んでしまって、妖怪たちは、というお話です。
犬夜叉でもあり、七宝でもあり、雲母でもあり、関わった様々な妖怪たちの気持ちとして。
ていうかかごめちゃんが戦国時代に行ったらかごめの存在が消滅すると思うのですが。ううん。
09.08.23 漆間 周